「痛み入ります」という表現をビジネスシーンで使用したことはありますか?
「痛み入ります」という言い方は、目上の方や取引先の方に感謝を表す際に適した言葉で、類語もいくつかあります。正しい意味を知り、使いこなせるようになると、ワンランク上のビジネスマンになることができる、素敵な言葉です。
しかし、意味や使い方を知らずに使用すると、目上の人に不快感を与える言葉となってしまう危険性もはらんでいます。使い間違いをしないよう、正しい意味や使い方、ビジネスに於いての例文や「痛み入ります」の類語を学習する必要があります。
今回は、『痛みいりますとは?言葉の意味と使い方』と『痛み入りますの使い方の間違いと目上の方に使う場合の注意点』さらに『痛み入りますの類語とビジネスメールでの例文』についてご紹介いたします。
ビジネスシーンでの正しい使い方を身に着けて、正しい敬語をマスターしましょう。
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「痛み入ります」とは?読み方と由来と意味
「痛み入ります」の読み方は、「いたみいります」です。
「痛み入る」に丁寧語の「ます」がついた敬語表現です。
この場合の「痛み」は心の痛みを表し、「入る」は「泣き入る」や「寝入る」と同じで、「すっかり~する」「まったく~する」という意味を表します。
よって、「痛み入る」とは、直訳すると、「すっかり心が痛んでしまった」「まったく心が痛んでしまった」となり、それが語源となって、現在は「心が深く痛むほど申し訳なく、感謝している」という意味で使われます。
感謝の気持ちと申し訳なく思う気持ち、2つの気持ちが入り混じった表現なのです。
「痛み入ります」の使い方
一般的には、上司や取引先のはからいに対し、深い感謝の気持ちを伝える際に使用する言葉です。
具体的には上司にアドバイスをいただいた時や、取引先に厚意を受けた時に使用します。
例えば、「先日は納期を延長していただき、痛み入ります。」と言えば、「先日、納期を延長していただいたことが、心が痛いほど申し訳なく、感謝しております。」という意味合いで相手方に伝わります。
また、例外といたしまして、仲のいい同僚に「痛み入ります」を使う際には、皮肉を孕んだ言い回しになります。
例えば、「ご忠告痛み入ります。」と言った場合は、「ご忠告ありがとうございます。余計なお世話です。」という意味合いになります。
ニュアンスが違えばきつい言葉になりますので、注意して使いましょう。
「痛み入ります」の例文
・貴重なご意見、痛み入ります。
・お気遣いいただき、誠に痛み入ります。
・~様のご厚情痛み入ります。
・お声かけいただき、痛み入る思いです。
目上の方や取引先の方からご厚意を受けた際に使われます。
古風な言葉ですので、この言い回しをできると、しっかりした人なのだという印象を与えることができます。
「痛み入ります」の使い方の間違いと目上に使用する際の注意点
前述しましたとおり、「痛み入ります」は使い方によっては、皮肉を孕んだ言い方になり、失礼になってしまいます。くれぐれも使い方を間違えないようにしましょう。
一番よくない使い方は、上司や取引先の方にご意見を賜った際に、「ご忠告痛み入ります」と返事をする使い方です。
このタイミングで言う「痛み入ります」は、人によっては素直に感謝の気持ちとして受け取られますが、「ご忠告はありがたいけれど、余計なお世話です。」という皮肉を孕んだ言い方と捉える人が多数でしょう。
本当に感謝を伝えたくて発した言葉でも、受け取る側がそう思わなければ、発言した意味がありません。
誤解される恐れがあるのであれば、使わないのがベターでしょう。
また、「痛み入ります」という言い方は、感謝の気持ちと申し訳ない気持ちが入り混じった言葉ですので、「ありがとう」や「申し訳ありません」といった、感謝や謝罪の気持ちを表す言葉を付け足してしまうと、意味が二重になってしまいます。
それは使い方として正しくないので避けましょう。
例えば、「貴重なご意見、痛み入ります。ありがとうございます。」のような使い方です。これは誤りですので、覚えておいてください。
「痛み入ります」の返し方
逆に「痛み入ります」と自分が言われた場合、何と返すのがよいでしょうか。
一般的には「とんでもないです」と返します。これもまた恐縮する言い方ですね。
「痛み入ります」の類語
「痛み入ります」には類語がいくつかあります。ひとつひとつご紹介いたします。
「恐れ入ります」
「恐れ入ります」は、「痛み入ります」と同じく、目上の方や取引先の方に対し、感謝の気持ちを伝える時に使う言葉ですが、「痛み入ります」より、申し訳ない気持ちが強い言葉です。
「痛み入ります」は「心が痛いほど恐れ多く感謝しています」という意味ですが、「恐れ入ります」の場合は、「ここまでさせてしまって申し訳ないです」という意味合いになります。
また、「痛み入ります」と大きく違う点は、「恐れ入りますが」という使い方ができる点です。
ビジネスでは先方に何かをお願いすることが多々あります。その際に「~していただけませんか。」と提案しますが、文頭に「恐れ入りますが」をつけて、「恐れ入りますが、~していただけませんか。」という文にすると、「申し訳ないですが、~をしてもらえないですか」という意味合いになり、申し訳ない気持ちが追加されます。
「痛み入りますが」という言い方はしませんので、文頭に申し訳ない気持ちを追加したい時には特に有用です。
ビジネスメールにおいても同様の使い方ができます。「恐れ入りますが、~していただけませんか」という言い回しはビジネスの基本の「き」と言っていいでしょう。
「恐縮です」
「恐縮」の意味は「身も縮まるほどに恐れいること」とされています。
この言葉には「痛み入ります」や「恐れ入ります」と違い、謝罪の意味合いが含まれています。
例えば「お集まりいただき恐縮です」と言った場合は、「お集まりいただき感謝しています。すみません。」というような意味合いになります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「痛み入ります」は使い方によっては、しっかりとした自分をアピールできる素晴らしい言葉ですが、使い方を間違えると危険な言葉にもなります。意味を正しく理解して、マスターできるよう努めましょう。