ビジネスメールにおいて、「ご連絡差し上げます」という文言を良く使うことがあるかと思います。
普段何気なく使っている「ご連絡差し上げます」という言い回し、本当に正しい敬語でしょうか?知らないうちに人を不快にさせる、間違い敬語ではないでしょうか?
改めて「ご連絡差し上げます」の使い方について学習し、正しく使えるようになりましょう。また、英語での表現もご紹介していますので、英文メールの例文を通して学び、外国の方と連絡を取る方は、普段から使えるようにしていきましょう。
今回は、『ご連絡差し上げますは間違いなのか?正しい敬語の使い方』と『ご連絡差し上げますの英語メールの例文』をご紹介いたします。
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「ご連絡差し上げます」は間違い? 正しい敬語と使い方
「ご連絡差し上げます」を品詞に分解すると、
「連絡」は名詞、「ご~差し上げる」は動詞「あげる、与える」の謙譲語表現、「ます」は丁寧語の接尾語となります。
よって、意味は「連絡をこちらから与えさせていただきます」のようになります。
「ご~差し上げる」は正しい謙譲語表現なので、二重敬語でもなく、正しい日本語と言えるでしょう。
「先日ご連絡差し上げた件について、ご相談したいことがございます」のような使い方ができます。
「ご連絡差し上げます」は上から目線の言葉
しかし、ビジネスシーンにおいて、「ご連絡差し上げます」は、相手に不快感を与える可能性のある敬語、として認識されています。
理由は、「差し上げる」という表現が「あげる、与える」という意味合いのため、上から目線にとられることがあるためです
例えば、「本日は急用が入り、そちらに伺うことができませんので、またご連絡差し上げます」のように使った場合、自分の都合で日程変更したにも関わらず、「連絡してあげる」態度でいると思われてしまいます。
これでは角が立ってしまいますよね。こんな時は別の表現に言い換えて伝える必要があります。
「ご連絡差し上げます」を使うのは相手にメリットがある時だけ
逆に取引先から「急用が入り、そちらに伺えません」という連絡が入った場合、「それではまたこちらからご連絡差し上げてもよろしいでしょうか」と切り出すのは、失礼にはあたりません。こちらの予定を調整することは、取引先にとってメリットになるからです。
相手方にメリットがあることをこちらがしてあげる、ということは、こちらの勝手ではないため、「差し上げる」が持つ「与える」意味合いがあってもおかしくありません。
「ご連絡差し上げます」は時と場合を考え、相手方にメリットがある場合のみ使用することにしましょう。
「ご連絡差し上げます」には、同じ意味合いの言い換え表現が他にあります。上司等の目上の方に使う場合には、トラブル防止のため、後でご紹介する言い換え表現を使えるよう学習しましょう。
「ご連絡差し上げます」を使った例文
相手方にメリットがある場合に使う「ご連絡差し上げます」の例文はこちらです。
- 結果についてはこちらからご連絡差し上げますので、今しばらくお待ちください。
- 是非お仕事をご依頼したいと思い、ご連絡差し上げた次第です。
正しい謙譲語表現ですが、どうしても上下関係が表れているように感じますね。上の場合「結果を知ることができる」メリットが、下の場合「仕事を受注できる」というメリットが相手にあるため、「ご連絡差し上げます」を使ってもよいということです。
「ご連絡差し上げます」の言い換え表現
「ご連絡差し上げます」に代わる表現をご紹介します。敬語表現になりますので、相手に不快感を与えずに円滑なコミュニケーションのため、
ご連絡いたします
1番オーソドックスに使える言い換え表現は、「ご連絡いたします」です。
しかし、この表現、実は二重敬語という日本語のルールに反した表現です。「ご連絡いたします」は、謙譲語の接頭語「御(ご)」と、「する」の謙譲語「いたす」が含まれた言葉で、同じ種類の敬語を重ねて使うことは禁止されているからです。
しかし、使う人が多いので、例外として使用を認められていますが、正しい日本語を使いたいという方は、「ご連絡します」や「ご連絡をいたします」という形に変えて使いましょう。
他にも二重敬語の例外として使われている敬語があります。併せて学習してもよいでしょう。
ご連絡申し上げます
「ご連絡差し上げます」の言い換え表現として最もよい表現は、「ご連絡申し上げます」です。
「ご~申し上げる」は正しい謙譲語なので、「ご連絡差し上げます」と並ぶ敬意を表すことができますし、相手に不快感を与える表現でもありません。こちらは積極的に使ってください。
「ご連絡差し上げます」を英語メールで使うには?例文をご紹介
いくつか「ご連絡差し上げます」の英語表現をご紹介します。
- I will contact you.
- I will let you know.
- I will get in touch with you.
- I’ll e-mail you.
- I will get back to you.(後で連絡する場合に使用)
以下例文をご紹介します。上記表現の後に続く言葉や表現を変えることで、様々な状況に合わせて使うことができます。
- I will contact you later.
- I will let you know as soon as possible I have confirmed.
- I will get in touch with you by phone tomorrow.
- I will e-mail you next week.
- I’ll get back to you after I have checked your report.
後でご連絡差し上げます。
確認でき次第、すぐにご連絡差し上げます。
明日、電話にてご連絡差し上げます。
来週、メールにてご連絡差し上げます。
レポート確認後、ご連絡差し上げます。
まとめ
今回は、「ご連絡差し上げます」の使い方について、ご紹介いたしました。いかがでしたでしょうか。
「ご連絡差し上げます」は敬語表現としては、正しくても「差し上げる」の意味が「与える」という意味合いのため、上から目線にとられてしまうことがわかりました。
また、使う時は、相手にメリットがある場合だけというのは、意外でしたね。
「ご連絡差し上げます」のように、表現としては正しいけれど、実は相手に不快感を与えている、そんな言葉が他にもあるかもしれません。これからも言葉の学習を続け、正しい敬語を選んで使用できるようにしましょう。
また、間違った言葉を覚えて癖になっている方は、正しい敬語を頻繁に口に出すことにより、癖をつけ直すといいでしょう。