ビジネスシーンだけでなく日常生活の中でも良く使う「すみません」や「すいません」という言葉。
当たり前のように使用している言葉なので、どっちが正しい言葉なのか考えたことも無かったという方もいらっしゃるかと思いますが、実際のところどちらが正しい言葉なのでしょうか?それともどっちも正しい言葉なのでしょうか?
「すみません」と「すいません」に関わらず、言葉の正しい使い方や違いを理解せずに、使用していると信頼や評価を下げてしまう可能性もありますので、気をつけなければなりません。
また、ビジネスでの会話やビジネスメールで「すみません」や「すいません」を使った場合、問題ないのか、言い換えとなる適切な敬語表現がないのかもチェックしていきたいと思います。
そこで今回は『すみませんとすいませんの違いやどっちが正しいのか』、『すみませんやすいませんをビジネスシーン(会話やメール)で使う場合の敬語表現』などについて解説したいと思います。
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どっちが正しい?「すみません」と「すいません」の違い
「すみません」と「すいません」では、「すみません」が正しい表現になります。
「すみません」は、元々は動詞の「済む」からできた言葉で、漢字で書くと「済みません」となります。
「すみません」はマ行の「ミ」と「マ」が連続しており、発音しづらい言葉であることから、発音しやすくするために「すいません」と変化したと言われています。
「すいません」は、くだけた話し言葉になるので、手紙やメールなどの文書では、「すいません」は使わずに、「すみません」を使うようにしましょう。
ビジネスシーン(会話やメール)での使用はNG?敬語表現は?
謝意を伝える場面で「すみません」と「すいません」は良く使われますが、ビジネスのシーンで「すみません」を使用することは避けるようにしましょう。
「すみません」は、丁寧語ではありますが、尊敬語や謙譲語ではないため、ビジネスシーンには適しているとは言えません。
日常の会話などでは「すいません」や「すみません」を使うことは問題ありませんが、目上の方や取引先、上司が相手となるビジネスの場では、失礼な人だなとマナーを問題視され、信用を失ってしまうことになるかもしれません。
ビジネスシーン(会話やメール)で謝罪をするときは、「ごめんないさい」や「すみません」ではなく、敬語表現である「申し訳ございません(でした)」や「申し訳ありません(でした)」、「大変失礼いたしました」を使うようにしましょう。
「すみません」のように軽く聞こえず、相手に誠意が伝わるので、評価や信頼にも繋がります。
「すみません」と「すいません」の使い方
「すみません」という言葉には、「謝罪」、「感謝」、「依頼(呼びかけ)」の3つの使い方をすることができ、私たちは、シチュエーションに応じて三種類の意味の「すみません」を使い分けています。
【謝罪】
「すみません」と「すいません」は、迷惑をかけた時や失礼なことをした時に相手に対して謝罪をする場面で使います。
「すみません」と「すいません」は、「申し訳ない」という気持ちがあることを相手に伝えることができる言葉です。
【例文】
- すみません、今後気をつけます。
- 連絡が遅くなりまして、すみません。
【感謝】
「すみません」と「すいません」は相手に対して感謝を伝える場面でも使うことができます。
「すみません」と「すいません」が謝罪を表す言葉と認識されている方が多いと思いますが、感謝の意味も含まれています。
【例文】
- すみません、この度はありがとうございました。
- わざわざすみません、ありがとうございます。
この「謝罪」の意味で使う言葉を「感謝」の意味でも使うのは、日本特有です。
感謝を伝える時に、とっさに「すいません」と言ってしまう方もいらっしゃるかと思いますが、「すみません」というと「どうして謝るのだろうと」思う人もいるので、なるべく「ありがとうございます」を使えるようにしたいですね。
【依頼】
「すみません」と「すいません」は、相手に何かを依頼する時にも使うことができます。
店員さんに料理の注文や洋服など商品について質問をする時の最初の呼びかけの言葉として主に使われています。
【例文】
- すみません、◯◯さん、後で対応をお願いいたします。
- すいません、注文いいですか?
なお、ビジネスの場面で「すみません」を使うのは好ましくありませんので、言い換えとして、「お手すきでしょうか?」や「今お時間よろしいでしょうか?」などを使うようにしましょう。
相手に不快な思いをさせずにスムーズにやり取りを進めることが出来るでしょう。
「すみません」の語源
「すみません」の語源を見ていきましょう。
元は動詞の「済む」に打ち消しの助動詞「ぬ」がついた「済まぬ」です。
「済まぬ」に丁寧語である「ます」が入り、「済みませぬ」となり、打消しの「ぬ」を「ない」に変換した「すまない」が語源といわれています。
「済む」の意味は「澄む」と同じ語源です。「澄む」には「濁りや混じりけなどがなくなる。心配や邪念がなく、心がすっきりする」といった意味があります。
また、「済む」には、「物事が完了する。仕事が終了する」という意味があり、そこから「気持ちがおさまる」、「気が晴れる」といった意味も表すようになりました。
そのため、相手に対して失礼なことをした時に、「済む」を否定して、「このままでは、自分の気持ちが澄みきらない」ということを表し、謝罪の言葉となったといわれています。
「すいません」の語源
「すいません」は、「すみません」が話し言葉になったものです。
「すいません」の語源は、「すみません」になり、「すみません」が発音しにくいため「すいません」と変化していったといわれています。
「すみません」と「すいません」の英語表現
「すみません」の英語表現は以下の通りになります。
軽く謝る表現
- Excuse me. 失礼しました。
- Pardon me. 失礼します。
- I beg your pardon. 申し訳ありません。
あまり深刻ではないことについて詫びるニュアンスです。
「Excuse me」よりも丁寧なニュアンスです。
「Pardon me」よりも丁寧に述べる表現です。
しっかりと謝る表現
- I’m sorry. 申し訳ありません。 / ごめんなさい。
- I’m so sorry. / I’m very sorry. 本当にすみません。
- I apologize for / I apologize to 人 for. お詫び申し上げます。
さらに誠意を込める場合は以下の表現になります。
I’m really sorry. / I am truly sorry. / I’m terribly sorry. / I’m deeply sorry.
I apologize to you for inconvenience. あなたに不便をお掛けしたことをお詫び申し上げます。
感謝を示す表現
・Thank you for. ありがとうございます。
日本語の「すみません」には、相手の好意に対して恐縮していることを伝える使い方がありますが、英語では率直に感謝の言葉として伝えます。
まとめ
以下、今回の記事のまとめになります。
- 「すみません」も「すいません」もどちらも正解ですが、「すみません」が正しい表現です。
- 「すいません」は、口語表現で、日常会話で使用する範囲では問題ない。
- 「すいません」は、くだけた話し言葉になるので、手紙やメールなどの文書では、「すみません」を使用する。
- 「すみません」は、丁寧語であるが、ビジネス上で使用する場合は、敬語表現の「申し訳ございません」などを使用する。
いかがでしたでしょうか。
普段何気なく使っていた言葉にも明確な違いがあることがわかりました。
大人のマナーですので、わかるだけではなく、しっかりと使いこなせるように普段から意識して使えるようにしましょう。