失念とはどういう意味で、どのような使い方をすれば良いのかご存じでしょうか?
普段ビジネス上のメール等で使用している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
社会人になって会社・組織の一員となると、普段からその日の予定や一週間のスケジュールを把握することが必須となってきますが、普段仕事をしていると「つい、うっかり忘れていた」なんてことはありませんか?
でも、いざお詫びをしようとする時、「忘れてました!」とは社会人としては使えない言葉なんです。謝罪する時にはビジネスマナーとしての謙譲語に言い換えて類義語となる「失念」を使用しましょう。
今回は「失念」の読み方はもちろん、失念の使い方や「失念」とはどのような意味になるのか等、いくつかの例文を通して、正しく理解してビジネスマンとしてのレベルをあげましょう。
そこで、今回は『失念とは?読み方や意味と使い方』と『失念の類義語』、『ビジネスメールでの例文』について書いていきたいと思います。
失念とは?読み方と意味
「失念」の読み方は「しつねん」と読みます。
一般的な意味としては、覚えていたはずのことを思い出せないこと。うっかり忘れること。ど忘れ。物忘れ。ぼんやりしていた。
失念するとは、社会人としてはダメなことですが、人間誰しもに起こる現象でもあります。
また一説によると、仏法(仏教)用語として「記憶をさまたげる心の作用」の意味があるようです。
仏法の概念・理論や言葉を忘れる、あるいは心を乱してしまうといった意味も持っているとの事。
失念するの意味とは現在使う言葉と多少違う意味になりますが、仏教用語から発展したともいわれています。
「失念」は「忘れていた」の敬語としての言い回し表現ですが、自分の行為をへりくだって表現する謙譲語となります。
友人同士の間でならば「ど忘れ」で通じますが、ビジネマンとして謝罪の場面ではマナーとしてはアウトの使い方になりますので、 大人の言葉遣いとしての敬語に言い換えて謝意を伝えましょう。
正しい敬語を使う事で相手に与える印象は随分変わります。それでは次に失念するの使い方を見ていきたいと思います。
失念の使い方
「失念しておりました。申し訳ございません。」
上司や取引先の方へお詫びする時は、まず素直に自分の間違いを認めましょう。そして失念するの使い方を覚えていただければと思います。
それではどのような言葉を使ってお詫びや謝罪の連絡を入れたら良いのでしょうか。「うっかり」していましたという表現をすると目上の人に対しては失礼な言い回しになります。「失念する」とはそのような時に言い換えて使える敬語の表現になります。
ここで例文を一つ紹介します。
例えば、会議室を予約するように上司に指示されていたのに、予約をし忘れてしまったとします。
この時上司へ報告する際に「うっかり忘れていました。」と言いたいところですが、ここでは「失念しておりました」と丁寧な言葉でお詫びの報告をしましょう。
「知らなかった」、「聞いていなかった」という理由・言い訳は一切通用しないことも肝に銘じましょう。
例えば、大事な書類を電車内等で置き忘れた時にはどうでしょうか。
「書類を失念してしまいました」という使い方はしません。この場合には「書類を忘れてしまいました」と言う方が正しい使い方です。
失念の使い方は、あくまでも自分の「ど忘れ」で起こしてしまったミスに対して、「失念」を使います。
まぁ、失念するとは思いもよらない行為の一つですから、二度と起きないように気を付けることも必要です。
失念の類義語や言い換え表現は?
失念の類義語
忘れる(わすれる) 、物忘れ(ものわすれ)
失念の言い換え表現
聞き落としていたようです
ビジネス上では言った言わない、聞いた聞かない等の記憶の問題が多々生じるかと思います。
だからといって、相手が目上の人の場合に「聞いていませんでした。」と言ってしまったら大変失礼な言い方になります。
時と場合によってはケンカ腰に捉えられてしまう場合もある言葉使いになりますので注意しましょう。
こういう時には、その時のシチュエーションに合った類語を探し出して「聞き落としていたようです」などと言い換えるのがベストです。
日本語には類語・類義語が多数あるので、大変ですがマスターしていきましょう。
失念を使ったビジネスメールでの例文
「失念」は、ビジネス上で始末書や詫び状に使われる「忘れる」の敬語的表現です。以下にビジネスメール上での例文を列挙しておきます。参考にして下さい。
- 申し訳御座いません。失念しておりました。
- 日程の変更を失念しておりました。
- 申し訳ございません。ログインに必要なパスワードを失念いたしました。
- B様へ約束時間をお伝えすることを、失念してしまいました。
間違った使い方の文例を下記に挙げておきます。
目上の上司等が忘れていたことを、本人に代わって謝罪する際の言い方です。
- 「本部長が〇〇について失念しており、誠に申し訳ございませんでした。」
「失念」の主語は「私」でしかありませんので、上司や他人側が「失念する」という使い方は間違いです。
この場合は、
「本部長が〇〇をお忘れになっておりまして、大変失礼いたしました。」といった尊敬語を使って謝意を表現しましょう。
ビジネスシーンでは、「うっかり忘れてしまいました」と伝えてしまっては社会信用を一気に失ってしまいます。そのため、謝罪の意、反省を含めてニュアンスも込めて「失念」が使用されています。
よく聞く「放念」とは「失念」と同じ意味なのか?
放念(ほうねん)とは「気にしない」の意味です。
つまり「忘れた」「失念」と言う言葉とは全然意味合いが違うものです。
放念とは失念の類義語には当てはまりません。
しかし「気にしないで・・・」と言う言葉では、とてもカジュアルな言い回しとなりビジネス上の言葉ではありませんので、「放念」の丁寧語である「ご放念下さい」と言う表現が一般的な使い方になります。
失念するとは違う意味になるので気をつけて下さい。
また「放念」とは電話などで使う用語として一般的です。
その使用文例としては、
相手との会話でとある伝言を頼んでいたところ、その後それが必要ではなくなった場合などには、「伝言は、やはり取り消します」とか「不要になりました」という意味で「先ほどの(伝言の)件はご放念下さい」などと使います。
「先ほどの件は気にしないで」、「心にかけないで」、「過度の気遣いはしないで下さい」という意味になります。
つまり、「無かったことにしてください」、「忘れてください」という言葉の丁寧な表現となります。
放念の文例はいかがでしたでしょうか?
失念するの使い方に似てはいますが、意味は異なりますので使う場面を間違わないで下さいね。
まとめ
いかがでしたか?
「失念」は「無意識に忘れてしまう」「つい、うっかり」という意味合いで、「放念」は「意図的に忘れる」という意味合いになります。くれぐれもお間違えの無いように言葉の正しい意味を理解して、ビジネスマナーの向上にお役立て下さい。