自分のことを表す「小職」や「小生」という言葉があります。今日ではあまり見たり聞いたりする頻度も減ってきているかもしれません。
しかし、それぞれの読み方や意味、正しい使い方、「小職」と「小生」の違いを知っておくといざという時に役に立つことでしょう。
また、「小職」や「小生」は男性が使用しているイメージが少しありますが、女性も自分のことを「小職」や「小生」と使っても良いのでしょうか。間違いを指摘されないようにここで使い方を覚えておきましょう。
そこで今回は『小職とはどういう意味?』『小生との違い』『それぞれの読み方や使い方』『小職、小生は女性も使えるのか』についてご説明いたします!
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「小職」とは?読み方と意味
「小職」は「しょうしょく」と読みます。本来の意味は「官職に就いている者が自分をへりくだる時に用いる一人称の代名詞」です。
官職とは公務員のことで特に国家公務員(役人)が好んで用いたとされます。それが時代の流れと共に民間企業の役職にある者にも浸透したようです。
「小さい」+「職」と書きますので、「取るに足らない職の私ではございますが」と謙遜する意味で用いているのが分かります。
「小生」とは?読み方、意味
続いて、「小生」は「しょうせい」と読みます。
こちらの意味も「小職」にほぼ同じで自分をへりくだる際に使う一人称の代名詞で、主に手紙で用いられた言葉になります。
「小職」と「小生」の違いは?女性も使える?
では、この二つの言葉の違いとは何でしょう?言葉もなんとなく似ていて意味も同じなら「どっちでもいいんじゃないの?」という気もしますよね。
確かに両方とも「自分のことをへりくだる時に使う」のが本来ですが、このような違いがあります。
- 小職(しょうしょく)⇒官職にある者が自分をへりくだる時に使う。男女の区別はない。
- 小生(しょうせい) ⇒男性が自分をへりくだる時に使う
と、はっきりとした違いがあります。つまり、女性が「小職」を使う場合はあっても、「小生」を使うことは不適切ということですね。
「小生は男性が使う言葉」と覚えておきましょう。
「小生」の代わりに女性が使う言葉は?
先に述べました通り小生は女性が使うには不適切な言葉になります。こうしたところからも、ビジネスの時代背景がいかに男性中心であったかが伺えます。
それでは、女性の場合、小生に代わる女性版の言葉はないのでしょうか?
男性や女性に使用できる一人称の言葉は多くありますが、実際のところ女性が使用できる小生に代わる言葉はないようです。
ビジネスメールなどでは、分かりやすく素直に「私(わたくし)」と使うと良いでしょう。
どんな時に?「小職」、「小生」の使い方を知ろう
「小職」は官職が使う言葉から転じて、役職にある者が自身をへりくだる際に使う一人称の代名詞で、男性、女性ともに使用できる言葉になります。
「小生」は男性が自分をへりくだる際に使う一人称の代名詞であることが分かりましたね。では、実際にどのように使うのか、例文を見てみましょう!
「小職」の使い方
- 質問がありましたら、小職宛にお願いします。
- 申し訳ございませんが小職、先週より体調が優れずお休みを頂戴しておりました。
- このたび、小職は本社へ異動となりました。
と、一人称の代名詞ですので基本的には「私」と同様に使います。
「小生」の使い方
- ご不明点等ありましたら、小生までご一報ください。
- まだまだ若輩者の小生ではありますが、よろしくお願いします。
- おかげさまで、小生も変わりなく過ごしています。
「小生」も同様に一人称の代名詞として用いればOK。ただし男性が自分をへりくだる際に用いる言葉だということを忘れずに。
「小職」、「小生」の注意点
さて、小職、小生の使い方を見てみましたが、いかがでしょうか?
実際のところ、「使いどころが分からない!」という方も多いのではないでしょうか?
そうなんです。小職、小生は使いどころが難しいんです・・・。
「小職」は自身がへりくだる際に用い、身分や男女の区別なく使用できますが、本来官職にある者が使うのが由来。
それゆえ、相手が小職の意味を知っていると、「わざわざ「小職」という言葉を選んでいるとは随分と自分の役職をアピールしてくる人だな」という印象を与えかねません。謙遜するはずが逆に尊大な印象を持たれてしまってはビジネスとしては痛手ですよね。
「小生」は男性が用いる一人称であることは先程述べましたが、自身と同等か目下の者に対して用いる言葉とされています。よって、目上の方や上司に対しては使いません。
例え社内であったとしても、メールで「小生は~」と書かれていたらどうでしょう。
明らかに目下の者はともかく同等の者、つまり同僚からすると「あまり一般的ではない言葉をわざわざ格好つけて使う人」「同等から下の者に使う言葉をわざわざチョイスしている」という印象を与えかねません。結果、こちらも逆に尊大な印象を持たれてしまう恐れがあります。
ですので、女性の例と同じく、今の時代においては、ビジネスメールなどでは、「私(わたくし)」を使う方が誤解もされにくいため、無難と言えるでしょう。
ある程度の役職であれば相手に合わせて使ってもよいでしょうが、役職のない、いわゆる平社員の方は気をつけましょう。
「小職」、「小生」の同義語を知ろう
小職、小生という一人称の代名詞には、様々な類語があります。基本的には自身をへりくだる際に用いる同義語です。正しい意味を知り適切な使い分けをしましょう。
- 本官(ほんかん)
- 当職(とうしょく)
- 弊職(へいしょく)
- 下名(かめい)
- 当方(とうほう)
警官や公務員が自分をさして言います。
弁護士や弁理士、司法書士の一人称。
「弊社」+「小職」の造語といわれます。自身の職についてへりくだる一人称ですが、一般的ではないという見方もあります。
自分をへりくだる際に使う一人称の言葉。堅い印象を与える可能性がある。
自分が所属している会社や部署を示す際に使いますので、自社内では使いません。また一人称では使いませんので注意しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
小職=男女問わずある程度の役職の人が自身をへりくだる時に使う。
小生=男性が、同等かそれ以下の者に対して自身をへりくだる時に使う。
ということですね!
なかなか見聞きする機会のない言葉だからこそ、いざという時に間違えた使い方や対応をしてしまわないようにしっかりと覚えておきましょう!