相手に忘れてほしい事や気にしてほしくない事がある時、どんな言葉を投げかけますか。
ビジネスシーンで「気にしないでください。」と伝えるのは少しカジュアルな気がしますよね。
そういう時は「放念」という言葉を使いましょう。
「放念」とはビジネスにおいてよく使われる言葉なので、社会人であれば意味や使い方をマスターしておくことは必須です。
加えて、英語表現を覚えておけば英語メールをすらすら作成することができるので頭に入れておくと良いでしょう。
そこで今回は、『放念とはどのような意味か』から『ご放念くださいのビジネスでの使い方』、『ご放念くださいと言われた時の返信の仕方』や『放念の英語表現』についてご説明いたします。
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「放念」とは?「放念」の意味
「放念」の読み方は、「ほうねん」です。
「放念」は放っておくという意味の「放」と、ものごとについての考えや内容という意味の「念」の組み合わせからできています。
文字通りの意味だと「あるものごとについて放っておく事」となりますが、そこから派生し「放念」の意味は「気にかけない事、心配しない事」として使われています。
「ご放念ください」の意味
「放念する」とは「気にかけない、心配しない」という意味ですが、そこから「気にしないでください、心配しないでください、忘れてください」という意味合いで「ご放念ください」という言い回しが使われるようになりました。
「気にしないでください」というよりも、「ご放念ください」と伝えた方が丁寧な印象を受けますよね。
また、「ご放念ください」は、尊敬語表現となるため、顧客先や上司に対しても使うことができる大変便利な言葉ですのでぜひ覚えておきましょう。
「ご放念ください」のビジネスでの使い方
「ご放念ください」は、ビジネスにおいてよく使われる言い回しであり、電話やメールなどでよく見られます。
ここで、「ご放念ください」の使い方についていくつか例文をご紹介します。
- この件に関しましてはご放念くださいますよう、お願い致します。
- ご都合が悪い場合は、本件についてご放念頂けますと幸いに存じます。
- 先日ご提供した見積もりから変更がございます。新規見積もりをお送りいたしますので、先日分はご放念頂けますでしょうか。
- 本メールは、プロジェクトメンバー全員にお送りしております。関係のない方についてはご放念くださいますようお願いいたします。
例文でもお示しした通り、「ご放念ください」という表現をそのまま使うことはあまりありません。
前述したように「ご放念ください」は「忘れてください」等という意味のため、そのまま使うと相手に不快な思いをさせてしまう恐れがあります。
放念するかしないかは相手次第であり、こちらから指示するものではありません。
「ご放念頂けますでしょうか」など、より丁寧な言い方をするようにしてください。
「ご放念ください」と言われた時の返信の仕方
もし誰かから「ご放念ください」と言われた場合の返事の仕方はご存じでしょうか。
そもそも、返信する必要がないと考えている方もいるかもしれません。
「ご放念ください」と言われた時の返信として、一般的には何かしら返事をするのがビジネスマナーと言われています。
先ほどの例文の中で「ご都合が悪い場合は、本件についてご放念頂けますと幸いに存じます。」という一文をご紹介いたしましたが、この場合は都合が合うかどうかを相手は聞いてきています。
「ご放念ください」と言われたからといって返信しないと無礼な人だと思われ、悪印象となってしまう可能性もあるので注意が必要です。
ただし、「本メールはプロジェクトメンバー全員にお送りしております。関係のない方についてはご放念くださいますようお願いいたします。」など複数の宛先に送られている場合は、「承知しました。」と返事がくるとかえってわずらわしくなってしまうため、この場合は返信する必要はありません。
このように、「ご放念ください」と言われた時は、連絡の内容や状況によって返信の仕方を変えるようにしましょう。
「放念」の類語表現
「放念」の類語にはどのような言葉があるのでしょうか。いくつかご紹介いたします。
休心
「休心」は「きゅうしん」と読み、意味は「心を休めること」とあります。
「休心」は安否を尋ねられた時に使う言葉です。
例えば「その後ご様子はいかがでしょうか。ご案じ申し上げております。」と連絡が来た場合は、「おかげさまで元気に暮らしておりますので、何卒ご休心ください。」など「気遣いは不要です」という意味で返信します。
「ご放念ください」には「心配しないでください」といった意味合いがありますが、このように「ご休心ください」と言い換えることができます。
放心
「放心」とは「ほうしん」と読み、「気にかけないこと」という意味があります。
「気にしないでください」といった意味合いで「ご放念ください」と使う時に、「ご放心ください」と言い換えることができます。
しかし「放心」には「心をうばわれて呆然とすること」という意味があるため、ビジネスにおいてあまり使われることはありません。
捨て置く
「かまわないで放っておく」という意味で「捨て置く」という言葉があります。
メールなどで一度見たり読んだりして頂いた内容を忘れてください、という意味で「読み捨て下さい」や「お見捨ておき下さい」と言った表現を使うこともあります。
いずれも「お忘れください」の意味合いで使う「ご放念ください」と言い換えることができます。
「失念」と「放念」の違い
その他に「放念」と似た表現として「失念」という言葉がありますが、「放念」とは相手に対して使う言葉なのに対し、「失念」は自分に対して使います。
「失念」とは「しつねん」と読み、自分が何かを忘れていた時に言う丁寧な言葉です。
ビジネスにおいて「忘れていました。」という表現は幼稚に見えるため余り使いません。
この場合は「失念しておりました。」と言うのが正しいとされています。
「放念」の英語表現
ビジネスでは、一般的に「disregard」を使います。
- We solved this issue so please disregard it.
- I sent a wrong e-mail to you so please disregard it.
この問題は解決しましたので、ご放念ください。
間違えてメールを送信してしまいました。ご放念ください。
まとめ
「放念」とは「気にかけない事」を意味し、「気にしないでください」や「忘れてください」という意味の丁寧な言い回しとして「ご放念ください」という表現があります。
「ご放念ください」は尊敬語のため、ビジネスでも使える言葉です。
ただし、「ご放念ください」とストレートに言うのではなく、「ご放念いただけますでしょうか」と相手を気遣う言い方をするようにしましょう。
また、相手から「ご放念ください」と言われた時は簡単でもよいので返信をすように心がけると良いでしょう。