大人になるとずっとついて回ってくるのが敬語のマナーですよね。
普段から言葉遣いに注意していても、ふと「本当に正しい敬語が使えているのかな・・・」と不安になることはありませんか?
社会に出て一番たくさん使っている敬語と言っても過言ではない「いらっしゃる」という言葉は、意味が複数あるので使い方も少しややこしい言葉です。また、「おられる」や「来られる」のように同じように使われている言葉もありますが、どんな違いがあるか知っていますか?
今回は今更人には聞けない『いらっしゃるの意味や使い方』と『おられる、来られるとの違い』を詳しくご説明します!
一社会人として、正しい敬語を使いこなしましょう!
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いらっしゃるの意味
いらっしゃるという言葉は、「いる・ある」、「来る」、「行く」の尊敬語です。
3つも意味を持っているので、日常生活でも、ビジネスシーンでもメールや電話のときに自然とたくさん使われる言葉になっていますよね。ちゃんと正しく使えているでしょうか?
「いらっしゃる」という言葉は、意味が複数あり、「来られる」や「おられる」のように同じように使われている言葉もあるため、使い方で少し迷ってしまう方もいらっしゃるかと思います。
そこで、以下ではわかりやすいように、それぞれの意味での「いらっしゃる」の使い方の例文をあげてみました。早速見てみましょう。
「いる・ある」という意味の「いらっしゃる」の使い方
先ずはじめに、良く耳にする「いる・ある」という意味での「いらっしゃる」の使い方です。
- 基本の文章:「田中さんがいる」/「田中さんは聞き上手である」
- 丁寧語:「田中さんがいます」/「田中さんは聞き上手です」
丁寧語は敬語の基本中の基本です。です・ます調にするだけなので、これで迷う方はそれほど多くないかと思います。では田中さんが年上や上司の場合はどのようになるでしょうか。
- 尊敬語:「田中さんがいらっしゃいます」/「田中さんは聞き上手でいらっしゃいます」
これで随分フォーマルな印象になります。
おられるの意味といらっしゃるとの違い
「いる・ある」の尊敬語として「おられる」という言葉を使う方もいます。関西では特に良く使われるようですが、間違いだと感じる方もいることを認識して使うようにしましょう。
- 基本の文章:「田中さんがいる」
- 尊敬語:「田中さんがいらっしゃいます」
- 謙譲語+丁寧語:「私がおります」(「いる」の謙譲語+ます)
このように、標準語では「いる・ある」の謙譲語として「おる」という言葉があります。
そのため、「いらっしゃる」の替わりに「おられる」という言葉を使おうとすると、「おられる」は謙譲語+尊敬語なので、ちぐはぐな敬語の種類を使っているため、間違っていると感じる方がいるのです。
関西では、方言で「いる・ある」という意味で「おる」という言葉を使うため、謙譲語を使っているという認識とならないため、「おられる」を使ってもそれほど違和感を感じない方が多いのかもしれません。
全くの間違いではないのですが、いらっしゃるとおられるの違いや言葉のつくりは知っていて損はないでしょう。
「来る」と「行く」という意味の「いらっしゃる」の使い方
続いて、「来る」や「行く」という意味の場合の「いらっしゃる」の使い方をご紹介します。
- 基本の文章:「田中さんが来る」/「田中さんが行く」
- 丁寧語:「田中さんが来ます」/「田中さんが行きます」
- 謙譲語:「私が参ります」/「私が伺います」
- 「来る」「行く」それぞれの尊敬語:
「田中さんがいらっしゃる」/「田中さんがおいでになる」
「田中さんがお越しになる」/「田中さんがお見えになる」
「来る」「行く」を尊敬語に直すと、同じ言葉でもそれぞれの意味として使うことができます。便利なような、ややこしいような感じがしますね。
「お見えになる」は、本来の「見える」という意味から少し離れて「来る」「行く」という意味が強くなる特にややこしい言葉です。
同じ意味の言葉でも言い方はさまざまです。慣れない言葉を無理して使うよりは、使い慣れた言葉を積極的に使うほうが無難かもしれませんね。
来られるの意味といらっしゃるとの違い
「いらっしゃる」が「来る」、「行く」の尊敬語であることは説明しましたが、「来る」と「行く」で同じ言葉を使うのがややこしいという場合や、ちょっと大げさな印象になりすぎるという場合、「来られる」「行かれる」という言葉を使うこともできます。
「来られる」や「行かれる」は、「来る」「行く」に「する」の尊敬語である「される」が組み合わさった言葉です。こちらの言葉を使うことによって、堅苦しくなりすぎずに表現することができます。
敬語の意味を正しく使うのが大人のマナー!
遠い昔に学校で敬語について勉強してはいますが、社会に出ると学校で学んだことよりも莫大に多い敬語を使いこなしていかなければなりません。
そのため、敬語を使わなければと気を張りすぎてしまうと、間違った敬語や丁寧すぎる言い回しでかえって失礼になってしまう場合もあります。ビジネスでは特に言葉遣いには注意する必要があります。
例えば、電話で担当の方に繋いでもらう場合、「○○さんはいらっしゃいますか」「○○さんはおいででしょうか」で十分です。
「○○さんはいらっしゃるでしょうか」「○○さんはいらっしゃいますでしょうか」程度であればまだしも、「○○さんはおいでになられますでしょうか」「○○さんはおいででいらっしゃいますでしょうか」とまで言ってしまうと、かなりまどろっこしい印象になり、スマートではありませんよね。
敬語の構造さえ押さえていれば簡単に使いこなすことができますので、不安な言葉があれば一度調べてみてはいかがでしょうか。